枷染め(かせぞめ)とロープ染色
枷染め(かせぞめ)とロープ染色
デニム(デニム生地)は、10番手以上のタテ糸をインディゴによって染色し、ヨコ糸を未晒し糸(染色加工をしていない糸)で綾織り(あやおり)にした、素材が綿の厚地織布のことです。
図1は、デニム生地の拡大図です。
デニム生地のタテ糸のインディゴは青色の染料で、2つのインディゴ染色の種別があります。
それが『藍染め』と『インディゴ染め』だよ。
『藍染め』は、天然染料でのインディゴ染色。
『インディゴ染め』は、化学染料でのインディゴ染色です。
種別 | 特徴 |
---|---|
藍染め | 天然染料でのインディゴ染色 |
インディゴ染め | 化学染料でのインディゴ染色 |
インディゴに染色するには、天然染料で染色する『藍染め』と化学染料で染色する『インディゴ染め』があります。
『藍染め』にもいくつかの染色技法があって、デニムは『枷染め(かせぞめ)』によってインディゴに染色します。
『インディゴ染め』にもいくつかの染色技法があって、デニムは『ロープ染』によってインディゴに染色するよ。
『枷染め(かせぞめ)』は、天然染料でインディゴに染色する『藍染め』の中の一つの染色技法。
『ロープ染色』は、化学染料でインディゴに染色する『インディゴ染め』の中の一つの染色技法です。
染色技法 | 染料の種別 | 特徴 |
---|---|---|
枷染め(かせぞめ) | 天然染料 | 『藍染め』の中の染色技法の一つ |
ロープ染色 | 化学染料 | 『インディゴ染め』の中の染色技法の一つ |
『枷染め(かせぞめ)』って何?
『枷染め(かせそめ)』は、天然染料によって染める『藍染め』の中の染色技法の一つです。
染めるのに枷壺(かせつぼ)を使うことから『枷染め(かせぞめ)』と呼ばれます。
枷壺(かせつぼ)の中に、天然の染料をつくる
職人が束にした綿の糸を枷壺(かせつぼ)の天然の染料に浸す
取り出して絞り、空気にさらして酸化させるという工程を何回も繰り返す
天然の染料で染めた糸が出来上がり
枷壺(かせつぼ)に天然の染料を入れます。職人が束にした綿の糸を枷壺(かせつぼ)の天然の染料に浸す。取り出して絞り、空気にさらして酸化させるという工程を何回も繰り返す染色方法です。
枷染め(かせぞめ)の糸を使ったジーンズで色落ちについてお話。
枷染め(かせぞめ)は、職人が丁寧に時間をかけて天然の染料でインディゴに染めていきます。
そのため図4のように糸の中心までしっかり染まるよ。
ジーンズは、洗濯や摩擦で糸の表面が削れた面が見えます。
糸の中心までインディゴに染まっているために基本的には色落ちしにくく、着込むほどに深みのある風合いになります。
ロープ染色と異なり、『ヒゲ』、 『ハチノス』、『アタリ』はあまり出ず、全体が少しずつ色落ちするんだ。
『ロープ染色』って何?
ロープ染色は、化学染料を使って機械で染色方法です。
市販されているほとんどのデニムのインディゴは、ロープ染色されたものです。
綿の糸をまとめてロープ状態にしてインディゴ染料で染めることからロープ染色と呼ばれるよ。
紡績(ぼうせき)された綿の糸をロープ状態する前処理を行う
何本もの綿の糸を平行に束ねてロープ状態にする
【ロープ染色機を上から見た写真】
ロープ染色機のローラーで巻き取っていく過程で、インディゴ染料の入ったところに綿の糸を通し、引き上げて空気にさらして酸化させる
【ロープ染色機を下から見た写真】
インディゴ染料をつけたばかりの綿の糸は黄緑色。空気にさらして酸化させインディゴをに発色させる。これを繰り返していくと最後は濃いインディゴになる
インディゴに染められた面の糸を乾燥させるとインディゴに染色された糸の出来上がり
紡績された糸を平行に束ねてロープ状態にします。これをロープ染色機でインディゴの染料につけ空気にさらして酸化させるという工程を何回も繰り返す染色方法。
ロープ染色の糸を使ったジーンズで色落ちについてお話。
ロープ染色は、浸透圧で周りから徐々にインディゴに染まっていきます。
そのため図7のように中心は染まらず白のままなんだ。この白い部分を『中白(なかじろ)』と呼ぶよ。
ジーンズは、洗濯や摩擦で糸の表面が削れた面が見えます。
糸の中心が白だからこそ、ジーンズを履き込み選択や摩擦によって糸の表面が削れると白が出てきます。
図9のように糸の外側が一番色が濃く、中心に向かって色が薄くなっていくんだ。
この特徴によってデニムの色落ちの魅力である『ヒゲ』、『ハチノス』、『アタリ』ができるよ。
まとめ
枷染め(かせぞめ)とロープ染色についのまとめです。
『枷染め(かせぞめ)』は、天然染料を使う『藍染め』の染色技法の一つ。
『ロープ染色』は、化学染料を使う『インディゴ染め』の染色技法の一つです
よりわかりやすくするために表にまとめたよ。
染色技法 | 染料の種別 | 染色方法 | 染色方法(写真) | 名前の由来 | 染色された糸の特徴 | 染色された糸の特徴(写真) | 色落ちの特徴 | 色落ちの特徴(写真) |
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枷染め (かせぞめ) | 天然染料 | 職人が染める | 染めるのに枷壺(かせつぼ)を使うことから枷染め(かせぞめ)と呼ばれる | 糸の中心までインディゴに染まっている 糸は均一にインディゴに染まる | 糸の中心までインディゴに染まっているために基本的には色落ちしにくい 着込むほどに深みのある風合いになる | |||
ロープ染色 | 化学染料 | ロープ染色機で染める | 綿の糸をまとめてロープ状態にしてインディゴ染料で染めることからロープ染色と呼ばれる | 糸の中心は染まらず白いままである 糸の外側が一番色が濃く、中心に向かって色が薄くなっていく | 糸の中心までインディゴに染まらず、糸は均一のインディゴでないことから色落ちしやすい 『ヒゲ』、『ハチノス』、『アタリ』など魅力的な色落ちができる |