デニムの色落ちって何?
デニムの色落ちって何?
デニムにはたくさんの魅力がありますが、そのうちの一つが色落ち。
デニムの色落ちは、デニム生地を構成するインディゴに染められた糸が洗濯や摩擦で糸の中心部の色が染まっていな部分の『中白』が見えてくることです。
ここでの色落ちの話は天然染料での染色技法の『枷染め(かせぞめ)』ではなく、一般的なデニムの化学染料での染色技法の『ロープ染色』のお話だよ。
例えばジーンズは洗ったり、履いている時の摩擦によって色落ちします。図1のように洗濯や摩擦によって濃厚のジーンズが少しずつ薄くなっていきます。
色落ち具合はその時々に異なり、風合いも異なります。
一般的に色落ちはデニムの濃い色が薄くなっていくイメージを持ちますが、均一に色落ちするわけではありません。
『濃紺デニム』→『やや濃紺のデニム』→『紺のデニム』のように全体的に同じように色落ちはしません。
履く人の生活習慣や癖があることによって色落ちのばらつきがあるからです。
ある部分はよく色落ちしてある部分は摩擦が少ないから色落ちが少ないというように。それが模様のようにも見えます。
デニム(デニム生地)からつくったパンツであるジーンズの色落ちに名前のついているものがあります。
『ヒゲ』、『ハチノス』、『アタリ』と言って、ヴィンテージジーンズはその色落ちによって価格が変わるほどデニム好きから愛されているんだよ。
デニムの色落ちの仕組み
デニムの色落ちの定義をもう一度確認しましょう。
デニムの色落ちは、デニム生地を構成するインディゴに染められた糸が洗濯や摩擦で糸の中心部の色が染まっていな部分の『中白』が見えてくることです。
もう少しわかりやすく図を使って説明していくよ。
図2はデニム生地の拡大図です。
デニム(デニム生地)は、10番手以上のタテ糸をインディゴによって染色し、ヨコ糸を未晒し糸(染色加工をしていない糸)で綾織り(あやおり)にした、素材が綿の厚地織布のことです。
タテ糸のインディゴに染められた糸が洗濯や摩擦によって削られていきます。
図3は、デニムの色落ち前のタテ糸の拡大図です。
糸の外側はインディゴの色が濃く、中心に向かうにつれてインディゴの色が薄くなります。そして中心部分は染まらず白のままです。
中心の白い部分を『中白(なかじろ)』と言うよ。
ジーンズを履いている時の摩擦、ジーンズを洗濯することによって色落ちします。
洗濯と摩擦によって、図4のように糸の表面が削れていきます。
その削れた部分が見えることが色落ちです。
色落ちがジーンズを履いている人によって風合いが異なるのは、糸の染まり具合が違うからだよ。
図5は、糸の断面図です。
糸をインディゴに染めると外側から内側に色が入っていくので、糸の外側が一番濃い色になります。そして内側になるにつれて色が薄くなり、中心部まで染まらないため中心の色が白い中白(なかじろ)ができます。
糸が中心に向けて色が薄くなり、洗濯や摩擦によって削れ方もスパッと削れるわけでなく凹凸もあります。
そんな糸の特徴があるから人によって色落ちの風合いが異なり、それがよりデニムの魅力になるんだ。
ジーンズの色落ちの3つの種別
ジーンズには色落ちの3つの種別があります。
それは『ヒゲ』、『ハチノス』、『アタリ』と呼ばれます。
『ヒゲ』はヒゲ状の色落ち。ジーンズの前見頃の足の付け根部分にできる色落ちです。
『ハチノス』はハチノス状の色落ち。ジーンズの後ろ見頃の膝裏部分にできる色落ちです。
『アタリ』はジーンズを履き込んでいる間にできる擦れたような色落ち。ジーンズのサイドシーム、裾、ステッチ部分にできる色落ちです。
『ヒゲ』、『ハチノス』はヴィンテージのジーンズで大きく値段を変えるくらい付加価値があるんだ。
赤い丸で囲まれたところがジーンズの色落ちによってできた『ヒゲ』です。
上の赤丸部分はうっすら白く横に白い『ヒゲ』、下の赤丸部分は太ももにむかって太く白い『ヒゲ』ができてます。
この色落ちがヒゲに見えることから『ヒゲ』と呼ばれているよ。
『ヒゲ』は、ジーンズの前見頃の足の付け根部分、股下から太もも部分にできます。前見頃は衣服の前面のことです。
図7の赤丸で囲っている部分にできるのが『ヒゲ』です。上の赤丸部分は横向きの小さな『ヒゲ』、下の赤丸部分は太ももに向かって下向きの大きな『ヒゲ』ができます。
赤い丸で囲まれたところがジーンズの色落ちによってできた『ハチノス』です。
赤丸で囲った部分の色落ちを見ると、足を曲げた時のシワとともにできる色落ちから深い凹凸があるのも特徴です。
この深い凹凸の色落ちが蜂の巣に見えることから『ハチノス』と呼ばれるよ。
『ハチノス』は、ジーンズの後ろ見頃の膝裏(ひざうら)部分にできます。後ろ見頃は衣服の後ろ部分のことです。
図8の赤丸で囲っている部分にできるのが『ハチノス』です。この膝裏にできる凹凸が深い横向きにできるのが『ハチノス』です。
赤い丸で囲まれたところがジーンズの色落ちによってできた『アタリ』です。
上の赤丸部分がポケットのステッチ部分にできた『アタリ』、真ん中の赤丸部分のジーンズの脇線のサイドシームにできた『アタリ』、一番下の赤丸部分の裾にできた『アタリ』です。
『アタリ』は、摩擦によって擦れた色落ちだよ。
『アタリ』は、ジーンズのサイドシーム、裾、ステッチ部分にできます。サイドシームはジーンズの脇線の縫い目のことです。
赤丸部分がサイドシーム、ポケットなどのステッチ部分、裾部分です。
まとめ
ジーンズには色落ちの3つの種別の違いについて図や表でまとめました。
ここでの色落ちの話は天然染料での染色技法の『枷染め(かせぞめ)』ではなく、一般的なデニムの化学染料での染色技法の『ロープ染色』のお話だよ。
ジーンズの色落ちの3つの種別は『ヒゲ』、『ハチノス』、『アタリ』と呼びます。
『ヒゲ』はヒゲ状の色落ち。ジーンズの前見頃の足の付け根部分にできる色落ちです。
『ハチノス』はハチノス状の色落ち。ジーンズの後ろ見頃の膝裏部分にできる色落ちです。
『アタリ』はジーンズを履き込んでいる間にできる擦れたような色落ち。ジーンズのサイドシーム、裾、ステッチ部分にできる色落ちです。
それぞれの特徴や色落ちのできる場所を表にまとめたよ。
種別 | 特徴 | 出来る場所 | 出来る場所(写真) | 出来る場所(イラスト) |
---|---|---|---|---|
ヒゲ | ヒゲ状の色落ち | ジーンズの前見頃の足の付け根部分にできる | ||
ハチノス | ハチノス状の色落ち | ジーンズの後ろ見頃の膝裏部分にできる | ||
アタリ | ジーンズを履き込んでいる間にできる擦れたような色落ち | ジーンズのサイドシーム、裾、ステッチ部分にできる |